再会の追憶




再 会
物語は 僕が22歳頃の独身時代に遡り 
記憶の扉を開けてみました。

僕を捨て、彼女が結婚して一年位経過した頃
思いがけない所で再会をする。
それは偶然の重なりが奇跡の再会に至ったもので
当時、彼女にとっても新婚を楽しむ時期であり
とても、逢う事を考える環境には なかったと思う。

新婚なのに不思議と嬉しさの表情はなく
過去の残像を見せながらも、ただの知人と
思わせる表情で車に乗る。
余りにも偶然過ぎる再会が、そうさせたのかも知れない。

行き着いた所は、まだ互いに独身時代の思い出の場所である。

そこには、当時カヤルームと名付けた茅の部屋があった(下の写真)
今も目の前に、緑一面に広がる茅の林が広がっていて
二人にとって思い出の詰まった場所で、青春の残像が残る場所である。
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そこで車を降り、立ち止まったまま 遠くに眼をやると、
昔の二人の残照が鮮やかに甦ってきた

つぶやくように彼女が云う
転びながら走ったの覚えてる?・・・と
ずぶ濡れになったねって・・・答える

もう紛れもなく、気持ちは独身時代の二人に戻り
心の中に恋の狂騒曲が流れ、昔の幻夢を描きだしている。
握られた手に、その思いが しっかり伝わってきた

独身時代に行った、二人だけの場所
あの時、あの頃は彼女も独身だった
このカヤルームは 上の写真の右上の緑の林の
最奥にあり、KY Roomと勝手に名をつけていて
あの頃は、訪れる人のない二人だけの部屋だった。
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※その部屋に行くには、下の写真のように 緑の林を掻き分け進み
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※更に足元の悪い水路を 通り抜けねばならない
要するに、下の写真のように水路に囲まれ 守られた要塞なのだ。
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※水路は天候に左右され、いつでも渡れるとは限らない。
渡り口も東西の二か所のみで、梅雨時は増水で極めて困難である
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あの日の水路も 増水して足場の石が水につかり
帰りは 気を付けようと話しながら やっと渡れた状態だった。

二人だけの 茅葺の鍵のない カヤルームに到着
緑の風に寄り添う青天井の 秘密の部屋である
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あの日は到着して、どれほどの時間が経過したのか記憶にないが
夕闇迫る頃、突然に何か飛んできて周囲のカヤに当たり
バラバラと音を立て始めた。
どこから投げられたのか不明だが砂石のようだった。 
しかも連続して 2~3度である。

身体に当たらなかった事を後で思うと、水路の向こう側から
投げられたのかも知れない。 覗き見されていたとの想いから
ともかく驚いて立ち上がり、彼女を守ることに専念し必死で
逃げた。 いつから見られていたのか見当もつかないが
最初から目をつけられ、後をつけられ覗かれていたような
気もする。 2~3名いたように思う。

なんとか逃げ切れたと思えた瞬間、見事に滑って転倒
行くときに気を付けようと話した 足元の悪い水路である
二人とも下半身ずぶ濡れの泥んこだらけ・・・・
泣き面に蜂とはこの事だろう。

幸いなことに 誰も後を追ってくる様子は なかったものの、
二人共 ズブ濡れ、その後はどうなったかって
この後が大変で、数々のエピソードが残っているが
此処には書けない事が多くて、二人の胸のUSBに保存され
ロックされたままになっている。
今、当時を思い浮かべてみると、随分と自由奔放に
青春を送っていたような気がする。

・・・・・・・・

再会後の追憶
再会した当日は思いのままに、昔を忍び語り、
青春の残照を楽しめた一日だったが、あれが最後の
出会いとなった。

・・・・・・・・・・・・

あの再会の日から、3年後位に 僕も結婚・・・
その後は年数を重ねるばかりで 逢っていない
今、風の色が、夏の色へと移り行く季節であるが
同じような景色に出会うと、懐かしく思い出される。

あの時、忘れないでねって! 云いながら
あの人は 風の便りでは、もう この世に居ない。
恋の甘さ、苦しさ、切なさの総てを、そして恋のノーハウを
実際の体験で 教えてくれた師匠だった。

二度目の再会が不可能なだけに、今の僕を、高いところから、
どのような思いで 眺めているか聞いてみたい気がする。

万葉集より
 ※我れのみや
   かく恋すらむ かきつはた
      丹つらふ妹は いかにかあるらむ 作者不詳
   ※私がこんなに恋しているのに、あの可愛らしい彼女は
    僕のことを、今どう思っているのだろうか?

※あの日も「カキツバタ」が 咲いていたが、今も水辺に咲いている
ポールモーリアの「恋はみずいろ」のミュウジックが聞こえてくる。






この記事へのコメント

2021年06月14日 23:36
秘密の「茅ルーム」ですか。それは
なかなかの思い出ですね。でも、両側を茅に
囲まれた細いトンネルは、手を切りそうで
ちょっと怖いなと思いました。
二人の思いの籠った懐かしの場所で、
昔の恋を思い出すというと、私は伊勢物語の
  月やあらぬ春や昔の春ならぬ
    我が身一つは元能見にして
という歌が、自然に思い出されて来ます。
Yasuhiko様え
2021年06月15日 20:52
伊勢物語の「月やあらぬ春は昔の・・・」
※こんな意味でしょうか?
自然も含め、人の気持ちも総てが変わったのに自分だけが変わっていない。

今回の僕の物語は、女性が恋人を捨てて結婚、その後 奇跡的な再会、
そして過去の残照を楽しみ去っていく
それが、この世での最後の出会いとなったストーリーで現在的な恋の
様相もあると思います。
対比してみると、昔と現在の若者の世代感覚の違いのようにも
感じられますね。
有難うございました。
ゆらり人
2021年06月21日 09:27
久しぶりの再会ですね、嬉し~~~!私とですよ。
 茅葺での逢瀬でしたか、麦畑ではなったのですね。
このイメージの合成写真は本当は詩誠さんの写真みたい、何だか雰囲気似てるもん。
確かに麦畑より茅野方が丈が高いから逢瀬を重ねるにはいいですね。
歳を重ねるたびに同窓会や会社の仲間と集まると、進行役の人が最初に話すのが誰それが亡くなったとの報告から始まります。
風の便りでその後が分かったんですね、私はもうその聞く人も今は居ません。
でもいい思い出があり素敵ですよ。
詩 誠
2021年06月21日 20:18
>でも、いい思い出があり素敵ですよ<
思い出は想い出に過ぎず、過ぎたものは 総てが
過去の話しで、現在をどのように楽しむか?
どうにもならなくなって・・・・しまった!・・と
後悔しても後の祭りです。
ぐずぐずしていると人生終わります。
いろんなものを組み立てたい、あれもこれもやりたい
これ等の総てを人生の忘れ物にしないよう、社会的
通念上のルール、マナーは、しっかり守りながら
人生を思い切り楽しんでおきたいと思います
これからは、これが最大の課題だと思っています。
ゆらり殿も身体を再構築して頑張ってください。

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